■平林香織著『誘惑する西鶴 浮世草子をどう読むか』■
2016年2月28日 笠間書院刊 426頁 10000円+税
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第Ⅰ部 作品形成法―表象と仕掛け
第一章 『好色一代男』の方法
1 船に乗る「世之介」は何を意味するか
一 問題の所在―人生の転換点で船に乗る世之介
二 女護の島への出帆
三 難破と遺産相続
四 世之介が船に乗るとき
五 世之介の金の使い方
六 船に乗ることの意味
2 「都のすがた人形」における「鶉の焼鳥」は何を意味するか
一「三十五両の鶉」の焼鳥という仕掛け
二 西鶴が描く鳥料理
三「鶉の焼鳥」が意味するもの
四『伊勢物語』における鶉の表象
第二章『好色五人女』の方法
1 「おなつ」をとりまく滑稽
一 はじめに
二 『好色五人女』の喜劇性と悲劇性
三 巻一「姿姫路清十郎物語」の時間
四 清十郎の過去―第一章「恋は闇夜を昼の国」
五 おなつの恋―第二章「くけ帯よりあらはるる文」
六 第三章「太鼓による獅子舞」と第四章「状箱は宿に置て来た男」の手法
七 第五章「命のうちの七百両のかね」の手法
八 なぜ悲劇性と喜劇性が共存するのか
2 「お七」の母の小語
一 はじめに
二 お七と吉三郎の恋の展開
三 お七の最期
四 お七母の小語の意味
第三章 冒頭部の仕掛け
1 『男色大鑑』「墨絵につらき剣菱の紋」を解く
一 はじめに
二「たたみ船」は何を意味するか
三「兼ての望」は何を意味するか
四 翻弄される読者
五 川を渡る大右衛門
六 不透明な表現のもつ意味
2 『日本永代蔵』「浪風静に神通丸」の小さなエピソード群
一 『日本永代蔵』の特徴
二 巻一における〈小さなエピソードを積み重ねる〉手法と従来の評価
三 「唐かね屋」について
四 北浜米市の描写
五 さし物職人の話への流れ
六 「筒落米」を拾う親子
七 そのほかの話の手法
八 御伽草子の方法と比較して
第Ⅱ部 語り紡ぐ仕組み
第一章『西鶴諸国はなし』における伝承の活用
1 「夢路の風車」における『邯鄲』『松風』の活用
一 典拠論から作品論へ
二 西鶴と謡曲
三 「夢路の風車」と『邯鄲』
四 「夢路の風車」と『松風』
2 「身を捨て油壺」と「姥が火」の伝説
一 人はばけもの
二 「姥が火」について
三 「身を捨て油壺」と姥が火伝説
四 山姥の表象
五 西鶴の創作意図
第二章『懐硯』における語り紡ぐ仕組み
1 積層構造―「伴山」の役割―
一 積層構造について
二 序における伴山
三 「二王門の綱」について
四 「照を取昼舟の中」について
五 「長持には時ならぬ太鼓」について
六 「案内しつてむかしの寝所」について
七 「人の花散疱瘡の山」について
八 『懐硯』の創作方法
2 旅物語―『東海道名所記』と比較して―
一 紀行文学と旅物語
二 『懐硯』と『東海道名所記』の序と冒頭話の比較
三 冒頭話に続く話の比較
四 『鎌倉物語』の援用
五 『懐硯』と『東海道名所記』
第三章 『新可笑記』巻一における反転の仕掛け
1 「理非の命勝負」の理と非
一 『新可笑記』の評価
二 『新可笑記』の魅力
三 「理非の命勝負」の問題点
四 観相の問題点
五 日本文学に描かれた「観相」について
六 沈黙の笑い
2 「木末に驚く猿の執心」の生と死
一 「入物」というメタファー
二 史実との関係
三 「木末に驚く猿の執心」の違和感
四 反転する〈地〉と〈図〉
五 〈二人話〉の意味
六 話の綻びから見えてくるもの
第Ⅲ部〈はなし〉の広がり
第一章 〈こころ〉と〈からだ〉
1 西鶴浮世草子に描かれる顔
一 顔論の危険度
二 引目鉤鼻と隈取について
三 西鶴好色物における顔表現
四 役者評判記に描かれた顔
2 顔の変貌―『武家義理物語』「瘊子はむかしの面影」の姉と妹―
一 同調性について
二 『松風』における松風と村雨
三 『伊勢物語』における「女はらから」
四 「瘊子はむかしの面影」における姉と妹
第二章 西鶴が描く愛の変奏
1 西鶴浮世草子における兄弟姉妹
一 カインとアベル
二 『本朝二十不孝』における兄弟姉妹
三 敵討話における兄弟姉妹
四 相続話における兄弟姉妹
五『万の文反古』における兄弟姉妹
六 妹の話
七 兄弟姉妹話の魅力
2 男が女を背負うことは何を意味するか
一 挿絵から作品を読む
二 「面影の焼残り」の挿絵
三 芥川図について
四 文学における〈背負い〉
五 西鶴浮世草子挿絵に描かれた〈背負い〉
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