■平　浩一著『「文芸復興」の系譜学――志賀直哉から太宰治へ』■

はじめに――捨象された近代／

第一部　文学史の形成と「文芸復興」――平野謙の文学史観を中心とする戦後研究の検証　
第一章　戦後批評と「文芸復興」――一九五〇年代　
第二章　純文学論争への道程――一九六〇年代　
第三章　「神話」化された「文芸復興」――一九七〇年代以降／

第二部「純文学」外の要素と「文芸復興」――ジャーナリズム・大衆文学を中心に　
第一章　企図された「文芸復興」――志賀直哉「萬暦赤絵」にみる既成作家の復活　
第二章　「円本ブーム」後のジャーナリズム戦略――『綜合ヂャーナリズム講座』を手がかりに　
第三章　読者意識と「大衆文学」――純文学飢餓論争にみる「文芸復興」の底流　
第四章　黙殺される「私小説」――直木三十五「私　眞木二十八の話」にみる文学ジャンルの問題／

第三部　「モダニズム文学」の命脈と「文芸復興」――「新興芸術派」の位置　
第一章　「文芸復興」期における「新興芸術派」の系譜――龍胆寺雄から太宰治へ　
第二章　「文芸復興」期における文学賞の没落と黎明――「『改造』懸賞創作」と「芥川龍之介賞」　
第三章　「ナンセンス」をめぐる戦略――井伏鱒二「仕事部屋」の秘匿と「山椒魚」の作家の誕生　
第四章　「私」をめぐる問題――牧野信一「蚊」にみる「文芸復興」の一源泉／

第四部　「文芸復興」からみる太宰治――新進作家の登場　
第一章　「通俗小説」の太宰治――黒木舜平「断崖の錯覚」の秘匿について　
第二章　生成する〈読者〉表象――太宰治「道化の華」の小説戦略　
第三章　市場の芸術家の「復讐」――「道化の華」と消費社会　おわりに―新たな系譜に向けて